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職場のメンタルヘルスケアに認知療法を活用!職場の4つのケアとは?

認知療法

最近の報道では、景気は緩やかな回復傾向にあるとされています。しかし、労働者の現実は、「長時間労働、成果主義の乱用、パワーハラスメント」などにさらされており、厳しい労働環境が続いており、うつ病など精神疾患を理由に休職や退職する労働者が増加しています。

 

これに対応するため、厚生労働省や各企業とも色々な対策を講じていますが、依然として増加傾向が続いています。何故このような結果になっているのか、「職場のメンタルヘルスケアの現状」について紹介します。


企業のデメリットとは?メンタルヘルスケアは先行投資!

政府および各企業のメンタルヘルスケアへの関心が高まった背景には、労働者一人のメンタル不調がもたらす業績への影響が、決して小さくないことにあります。

企業のデメリットとは?

メンタル不調を理由に離職者が出た場合、デメリットは、その本人だけでなく企業にとってもインパクトの大きなものになっています。欠員による生産性の低下は言うまでもなく、周囲の負担増加や職場の雰囲気が悪くなったりして、職場全体の業績を悪化させてしまいます。

メンタルヘルスケアは先行投資!

労働安全衛生法は、「職場における労働者の安全と衛生と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進すること」を目的に制定されたものです。これは、「企業は、業務による疲労や心理的負荷などの過度な蓄積によって、労働者の心身の健康を害することが無いように注意する義務」があることを示しています。また、自殺の業務起因性を司法が認め、行政判断が覆る事案の発生を機に、「精神病の労災認定基準」が見直されました。

 

企業にとってメンタル不調は、民事控訴や労災認定のリスクとなっています。そのため最近の企業では、「生産性向上」や「リスクマネジメント」の観点から、メンタルヘルスケアを先行投資と認識して重要視されてきています。

進む国と企業の施策!矛盾する結果に見える現実とは?

政府は、昭和59年に初めての過労自殺労災認定を発端として、昭和60年から様々なメンタルヘルスケアの指針を発表や法改正を実施してきています。平成27年には、従業員50人以上の事業所を対象とした、「ストレスチェック制度」が義務化されました。これらと並行して、メンタルヘルスケアに取り組む企業も増えてきており、平成24年の約50%から平成25年には約60%に上昇しています。

    <企業の施策事例>

  • ストレスチェックの実施
  • 精神科産業医の配置
  • 社内カウンセラーによる社内カウンセリングサービス
  • 外部機関を活用した外部カウンセリングサービス
  • 全社員を対象としたメンタルヘルス研修の実施
  • 管理職を対象としたマネジメント教育およびカウンセリング
  • 職場の働きやすさの数値評価

このようなメンタルヘルスケアを実施する企業の割合が増えているにもかかわらず、メンタル不調を理由に離職する労働者のいる事業所の割合は、平成24年の8.1%に対し平成25年の10%と増えています。

 

では、対策は意味が無かったかというと、実際に効果が認められた企業が存在しており、決して施策の有効性を否定するものではありません。ただ、精神疾患に特効薬が無いことと同じように、メンタルヘルスケアには、長期間の継続した取り組みが必要であることを意味しています。

誤解が効果を阻害する?目先の利益に囚われるな!

メンタルヘルスケアが広まっているにもかかわらず、メンタル不調による離職者が増えている要因として、企業と労働者双方の誤解と取り組みへの姿勢が挙げられます。どのような施策でも同じですが、正しく理解し真剣に取り組まなければ、何事も成果がでないものです。

誤解が効果を阻害する?

一般的に心の病気は、「心に弱さを持った特殊な人の問題」とされる誤った風潮があります。この誤解が、差別的な対応や自分とは無関係といった過信を生んでしまいます。しかし、従来型のうつ病は、「自分よりも組織を優先する」、「順序や規律、秩序を順守する」傾向の性格の方に多く見られます。本来このような性格の人は、企業サイドか見た場合に「組織への順応性の高い望ましい人材」のはずです。逆説的に、「仕事のできる優秀な組織人タイプ」ほど、メンタル不調の危険性が高いことになります。

 

このような誤解と過信が、関心度や真剣さを低くしメンタルヘルスケアの効果に結びついていない原因となっている可能性があります。

目先の利益に囚われるな!

法律や制度が整備されて、メンタルヘルスケアに取り組む企業の増加は見られますが、形式的な対応に終わっていないか疑問視されます。現実の職場では、「損益」や「納期」など現実的な業務で手いっぱいの状況です。そのため、メンタルヘルスケアは、「余分なコスト」と軽視されがちです。企業の存在理由からいって、この風潮を責めることはできませんが、一旦、事が起こった場合の損失のリスクを無視できません。

 

企業が目先の利益に囚われず、真剣かつ適切にメンタルヘルスケアを活用することで、従業員の信頼と安心を得られ、その結果としてリスク低減と業績向上に繋がると認識することが重要です。

職場での4つのケアとは?具体的な進め方!

職場でのメンタルヘルスケアは、その必要性を労働者自身が認識し、それに対処していく「セルフケア」が基本です。しかし、業務内容や職場環境を労働者個人で変えていくことは困難です。そのため、企業として積極的に推進する旨を表明し、組織的かつ計画的にメンタルヘルスケアに取り組む姿勢が大切です。

職場での4つのケアとは?

メンタルヘルスケアを職場で実施するには、「4つのケア」を継続して中長期的目標に向かって計画的に行えるよう「PDCAサイクル」を廻していく必要があります。

    <職場での4つのケア>

  • セルフケア:労働者自身による気付きや対処などのケア
  • ラインケア:推進者や管理職、人事勤労スタッフによる労働者へのケア
  • 社内産業スタッフ等によるケア:産業医やカウンセラーなどを配置したケア
  • 外部機関を活用したケア:行政機関(産業保健センター、精神保健福祉センターなど)や民間医療機関のサービスを活用したケア

具体的な進め方!

4つのケアが円滑に実施されるためには、それぞれ関係者の意識と情報を共有と、その連携が必要不可欠です。企業毎に規模や社風、職場の特性に合わせた、実現可能な施策にすることが大切です。

    <メンタルヘルスケアの施策>

  • 管理職を含めた全社員への教育や研修および情報提供
  • 職場環境の評価による問題の洗い出しと積極的な改善への取り組み
  • メンタル不調への気付きと相談対応に向けた仕掛けと仕組み作り
  • 職場復帰への支援に向けた体制整備およびプランニング

心の問題は複雑怪奇!個人情報は慎重に!

職場でのメンタルヘルスケアは、心の不調な人だけを対象としたものでなく、全社員の心の健康の確保を目指したものです。セクハラやパワハラは論外ですが、良好な職場環境とは、人間関係や雰囲気だけでなく、異動などの人事や仕事の質や量も要因となっており、職場単体ではなく全社的な視点が必要です。

心の問題は複雑怪奇!

メンタル不調の原因や発生のプロセスは、個人差が大きいためステレオタイプに判断できません。人によって出来事の受け止め方の特徴に差異があり、一見喜ばしい出来事もその人にとっては深い傷となることも珍しくありません。また、メンタル不調は、職場の問題だけでなく、死別や離婚など個人生活も要因の一つで、これらが複雑に絡み合う形で発生しています。そのため、メンタルヘルスケアは、幅広く総合的な観点で臨む必要があります。

個人情報は慎重に!

メンタルヘルスケアに関する情報のほとんどは、労働者のプライバシーに深く関わる個人情報です。企業と労働者の間に信頼関係が無ければ、正確な情報を入手できず適切な対応に繋がりません。「人事評価や査定に利用されるのでは?」などの疑念があっては、誰も正直に回答しないでしょう。そのため、メンタルヘルスケアにおける情報収集と利用の目的および取扱い方法は、個人情報保護と安全配慮義務を両立したルールと厳格な運用システムの構築が必須になります。

日常の小さな変化とは?相談という名の認知療法!

メンタルヘルスケアを進める上での一番の障害は、心の不調の見えにくさにあります。ストレスチェックなどの検査を行っても、その発見には限界があるためです。初期は本人に自覚が無い事も多く、たとえ自覚があったとしても、「知られたくない」との心理が働くため、表面化しにくくなっています。

 

そのため、メンタルヘルスケアでは、周囲の小さな気付きが重要になっています。

日常の小さな変化とは?

検査や問診では見つけにくいメンタル不調ですが、意外と周囲の人によって発見されるケースが多く見られます。身体疾患と違いメンタル不調は、言動や業務に変化が現れやすいので、専門家でなくても異常に気付きやすい特徴があります。特に管理職は、「今までしたことのないミス」や「仕事の遅れ、品質の低下」など業務管理上の観点から、違和感に気付きやすいと言えます。

 

管理職など周囲の人は、医療専門家ではありませんので診断の必要はなく、ただ「いつもと何かちがう」といった勘を大切にして、行動を起こせばいいだけです。声をかけ話を聴いてみて、メンタル不調の疑いがあったら専門家に橋渡しするだけで、早期の治療開始に繋がる充分な効果と言えます。

相談という名の認知療法!

話を聴く意義は、メンタル不調の早期発見と治療開始ですが、それだけでなく認知療法的効果も期待できます。

 

メンタル不調者に限らず悩みを抱えた人は、自分自身で問題の整理や認識ができないため、解決の糸口を見つけられず、それでいて何のアクションも起こせない状況に陥ってます。いわば、自分の偏った考え方「認知の歪み」に囚われた状態です。

 

他人に相談する行為は、「問題の整理」、「解決への気付き」、「気持ちの整理」に結びつく問題解決に極めて効果的です。また、話を聴いてもらうことによって「認知欲求」が満たされ、不安の低減にも繋がります。「真剣に相談にのって問題を解決へと導きながら、合理的な正しい考え方への気付きを促していく」、この流れは、認知療法と同様のアプローチです。

 

上司やリーダーなど管理職的立場の人は、特別な場面を作らなくとも日常業務を遂行しながら、ちょっとした気遣いでメンタルヘルスケアの一端を担えることになります。このことは、取組みを定着させるためには、とても重要なことと言えます。

まとめ

ブラックな企業で、「労働者は使い捨てで取り換え可能」な考え方でない限り、ほとんどの企業は、人材育成に時間と費用を費やしています。その人材を失うことは、民事控訴や労災認定にならなくても、大きな損失であることは間違いありません。また、労働者本人も、メンタル不調で苦しい日々を送ることは、人生においても損失です。

 

メンタルヘルスケアは、戦略的施策の一つであり、決して他人事でないとの認識が広まれば、時間はかかりますが効果が見えてきます。「企業は人なり」といった言葉もありますが、人材を大切にした成長社会を目指していきましょう。

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