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強迫神経症に効果的な認知療法とは?暴露反応妨害法7つのSTEP!

認知療法

強迫神経症は、現在では「強迫性障害(OCD)」と呼ばれる不安障害に一つに分類されている病気です。欧米の調査による有病率は、1~2%とされる割とメジャーな病気といえます。

 

しかし日本では、本人および周囲の認識度の低さや精神科受診への心理的ハードルの高さからなのか、有病率のデータがあまり取れていない状況です。

 

強迫性障害は、本人の苦しみだけでなく、家族など周囲の負担も大きな病気です。病気の理解は、それらの軽減への第一歩です。そのきっかけとなれるよう、強迫性障害について紹介します。


理解されない苦痛とは?繰り返される無意味な行為!

強迫性障害とは、自分の意志に反して浮かぶ不安や不快感を押さえられない「強迫観念」、それを打ち消そうと無意味な行為を繰り返す「強迫行為」を主症状とする神経症です。強迫観念と強迫行為を「強迫症状」といいます。

理解されない苦痛とは?

本人も「ばかげてる」と感じている不合理な考え方「強迫観念」は、様々なものがあり、それぞれに関連した「強迫行為」が伴います。この「強迫症状」が引き起こす無意味な行為には、自分や大切なものを守ろうとする「過剰な防衛反応」に誘発される傾向が見られます。

繰り返される無意味な行為!

強迫症状は、はたから見て本人が好んでやっているように見えるため、「つまらない事にこだわっている」や「気にしている理由が分からない」と思われがちです。また、目立った身体症状があるわけでもなく「病気っぽくない」ため、理解されにくい特徴があります。

 

患者本人は、無意味な行為を自覚し、無視しよう、止めようと努力や意志を示しても、強い不安や不快感に捉えられ、無視することも止めることも出来ないコントロール不能状態に陥っています。このような、「自覚できているのに、自分ではどうしようもない不合理」が、深い悩みと強い苦痛を生み出しているのです。

    <強迫症状の具体例>

  • 汚染、洗浄:過剰な掃除や手洗いなど
  • 加害、自分への危害:他人や自分を傷つける心配
  • 正確性の追求:順序、正確性、対称性の確認や儀式行為
  • 数字へのこだわり:特定の数字、回数、個数への魔術的思考
  • 強迫的溜め込み:無用なものへのこだわり(保護)
  • 他者の巻き込み:他人の確認や保障を求める巻き込み型

脳内の機能異常が原因!親や家庭の影響は?

強迫性障害の原因は、神経症の多くが「心理的環境的要因(心因)」とされるのに対し、「脳内の特定部位の障害」や「神経伝達物質の機能異常」を原因とする説が有力です。

 

具体的には、「大脳基底核や辺縁部等の異常」や神経伝達物質のドーパミンやセロトニン等が、「汚れ、危険、数字」など「特定の情報の伝達が充分にされなくなる機能異常」を要因としています。

 

そういう意味で、本人の性格や気質が原因ではありません。

親や家庭の影響は?

いくつかの研究では、患者本人の第一親等家族の罹病率(軽度で、苦痛を伴わない強迫性障害を含む)が高いとの報告や、遺伝子研究での特定遺伝子の報告がありますが、明確に裏付ける知見はまだなく、充分に解明されていない状況です。

症状が似た病気に注意!依存症とは何が違う?

強迫性障害と同様な症状は、他の精神疾患や脳機能疾患にもみられるため、これらとの鑑別が必要です。

症状が似た病気に注意!

強迫症状は、うつ病や統合失調症など精神疾患、脳炎や脳血管障害、てんかんなど脳機能疾患にもみられます。そのため、様々な検査によって、これらの病気との鑑別を行います。

    <鑑別に必要な検査>

  • 血液検査
  • 髄液検査
  • 頭部画像検査(CT,MRI等)
  • 脳波検査

依存症とは何が違う?

薬物やギャンブル依存症は、「やってみないと分からない」、「やめられない」という点で強迫症状と似ています。しかし、依存症はその行為に対して快感を感じているのに対し、「強迫性障害では、快感は無く苦痛のみしか無い」という点で、異なっています。

薬物療法で不安を軽減!精神療法の併用に効果!

強迫性障害の治療は、「薬物療法」と「精神療法」に加え、患者とその家族への充分な理解を促す「心理教育」が行われます。心理教育は、本人の治療に向けたモチベーションを高め、周囲の理解と支援環境を構築する目的があります。

薬物療法で不安を軽減!

薬物療法は、原因の一つとされているセロトニンの機能異常に作用する薬が処方されます。主に、SSRI(選択的セロトニン再取込阻害薬)が用いられ、12週間継続して服用しその経過を観察します。症状の緩和がみられない場合は、三環系抗うつ薬を併用します。

 

SSIRは、第三世代の抗うつ薬で、セロトニンのみに作用する、比較的に副作用の少ない安全性の高い薬です。主な副作用は、吐き気や食欲不振などです。

 

三環系抗うつ薬は、第一世代の抗うつ薬で、ノルアドレナリインとセロトニンを増加させる効果があります。主な副作用は、けいれん、便秘、口の渇きなどです。

 

薬物療法は、始めることや続けることは容易で即効性が期待されます。しかし、薬物の有効率が50%とされ、充分な効果がみられない場合が多く、副作用や中断による再発などのリスクを認識しておく必要があります。

精神療法の併用に効果!

強迫性障害の精神療法には、認知行動療法をはじめ、さまざまな技法が用いられます。

    <精神療法の技法事例>

  • 認知行動療法:暴露反応妨害法による治療
  • 支持的精神療法:不安や悩みを、聴くことで軽減
  • 森田療法:あるがままの自分を受け入れることで不安を克服
  • 精神分析法:心に浮かんだイメージから病気を分析

強迫性障害には、暴露反応妨害法を用いることが多くあります。暴露反応妨害法は、これまで恐れ避けてきたことに直面し(暴露法)、不安を避けるためやってきた強迫行為をあえてさせないこと(反応妨害法)を継続して訓練し、徐々に慣れていく目的があります。

    <暴露反応妨害法の7つのSTEP>

  • 行動分析:先行刺激、強迫観念、強迫行為の関連性を分析
  • 目標設定:何を治療するか、対象の目標を明確化
  • 課題設定:治療する課題の止め易さの難易度を設定
  • 課題実施:難易度の低い課題から訓練を開始
  • ホームワーク:やり方に慣れたら、自宅でも訓練を行う
  • セルフモニタリング:強迫行為を行わない訓練によって、不安の感じ方に変化があったか自己評価
  • 成果判定:課題クリアなら次の難易度へ、未達なら原因を検討しやり方を修正

最初は、不安感が上昇し苦しさが強くなってしまいます。そのため、本人の強い治療意欲と治療者との深い信頼関係が大切です。ただ、暴露反応妨害法を熟知した治療者が少ない現状があるため、医師との充分に相談して治療方法を検討します。

治療を受ける方へ!支援される家族の方へ!

患者本人は、強迫症状に気付いても、その通常との差異を恥じて相談できず、隠そうとする傾向があります。また、その人の性格や気質が原因ではないのですが、周囲からは「つまらない事を気にしている」と理解されにくいことも特徴といえます。

 

しかし、「気になる」こと自体が病気の正体であって、本人が感じている苦痛は、はたから見るより深刻です。治療には、本人の治そうとする意志だけでは不十分で、周囲の理解が重要になっています。

治療を受ける方へ!

強迫性障害は、病気について自責で悩む必要は全くありません。また病気自体は、あせらず治療を続ければ、治癒や軽減の可能性のあるものです。まず、そのことを理解しましょう。

 

治療は、効果が出るまでに相当の期間を必要とし、薬による副作用があるかも知れません。また、症状の波に翻弄されることもあるでしょう。それでも治す意思を強く持ち、日々の変化に一喜一憂せず、長期視点で治療に臨んで下さい。

支援される家族の方へ!

強迫症状への巻き込みなど、患者を支えることは大きな負担となります。そのため、病気を正しく理解し、時に支え、時には切り離してリラックスするなどして、サポートを継続し続けることが大切です。また、病気になった事への罪悪感や責任感に悩むのは、詮無いことで無意味です。

 

病気を責める事無く、医師や治療者と長期間連携して支えていく覚悟を持って下さい。

まとめ

強迫性障害は、その半数近くにうつ病の併発が認められています。うつ病の併発は、苦痛がより強くなり治療期間にも大きく影響を与えてしまいます。

 

疑わしい症状に気付いたら、精神科や心療内科など専門医を受診して、早期に適切な治療を始めましょう。

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